3歳~5歳の矯正歯科
当院には、未就学児(3~5歳)のお子さまの歯並びに関するご相談も多く寄せられています。
この年齢の矯正について、焦りや不安を感じる保護者の方も少なくありません。
しかし、治療は早ければ良いというわけではありません。
年齢に応じた治療の進め方があることを知っていただき、お子さまに合ったタイミングでの治療をご検討いただければと思います。
以下、よくあるご相談や治療法についてご説明いたします。
「早く始めた方がいい?」という不安について
「今すぐ始めないと手遅れになる」「早く始めればその分早く終わる」といった言葉を他院で聞き、不安に感じてご相談に来られる方が多いです。
院長である私も親として、お子さまの歯並びが心配になるお気持ちはとてもよくわかります。
ですが、年齢に応じた適切な治療があり、早すぎる治療は逆にお子さまやご家族にとって時間や負担が増えてしまうこともあります。
必要以上に早く始めた場合、子どもの成長に合わせて何度も治療内容を調整する必要が生じることがあり、無駄な労力を費やすことにもなりかねません。
お子さまの負担を最小限に
舌の位置や使い方が原因で歯並びに影響を及ぼす「舌癖」に対して、3歳からトレーニングを始めるべきだという意見もあります。
しかし、3歳前後のお子さまはまだ顎の成長が未完成で、口の中の空間も狭い状態です。
これをイメージするなら、口の中が「狭い部屋」で、舌が「子ども」のようなもの。狭い部屋で自由に動くことが難しいのと同じで、発育段階で舌の使い方を強制しようとしても、うまくいかないことが多いのです。
そのため、顎がある程度成長して「部屋」が広がってからトレーニングを始めた方が効率的で、無理のない治療が可能となります。
トレーニングは小さなお子さまにとって、負担がかかるもの。特に効果を実感できないままトレーニングを続けると、トレーニングが嫌になり、歯科医院に嫌悪感をもってしまうことにもなりかねません。
お子さまの負担を最小限に抑えるためにも、成長を見守りながら、ベストなタイミングで治療を始める方が理想的な治療ができると考えています。
「反対咬合」や「交叉咬合」について
一方で、3歳児検診で「反対咬合(下顎前突、受け口)」や「交叉咬合」と診断された場合は、早めの治療が必要になることが多いです。
これらは、舌癖などの癖や習慣が原因ではなく、あごの成長バランスに問題がある「骨格性不正咬合」である可能性が高く、早期の治療介入が必要だからです。
こうした骨格性の不正咬合を放置していると、成長とともに問題が悪化し、歯並びや顔立ちにまで影響が出ることもあります。
そのため、できるだけ早期に治療を始め、お子さまの健康でバランスの取れた成長をサポートすることが重要です。
使用する治療器具
ムーシールド
ムーシールドは、主に3~5歳のお子さまの反対咬合の治療に使用される装置です。
就寝時に口に装着するだけで、あごの成長をコントロールし、骨格性の反対咬合の改善を図ります。
ムーシールドは痛みも少なく、お子さまにとって負担が少ないため、安心して使用していただけます。
また、毎晩の使用によって、あごの正しい成長方向をサポートする効果も期待できます。
発音や舌癖に問題がある場合の対応
小さなのお子さまの場合、まだ発音がはっきりとしない子も多く、言葉の発達の遅れを心配される親御さんも少なくありません。
言葉の発達にはかなり個人差があるため、ほとんどの場合は過度な心配は必要ありませんが、舌小帯が短いために物理的に正しい発音がしにくいというケースもあります。
舌小帯が短いと発音だけではなく歯並びにも影響が出てしまう可能性があるため、この時期に舌小帯切除を検討されることをおススメします。
舌小帯切除とは
舌小帯切除は、お子さまの舌の動きに関わる重要な治療の一つです。
舌小帯(ぜつしょうたい)は、舌の下にある小さなひだ状の組織で、舌を下顎に繋いでいる部分です。
舌小帯が短すぎると舌の自由な動きが制限され、日常生活や成長にさまざまな影響を及ぼすことがあります。
舌小帯切除は比較的簡単な施術ですので、手術という言葉で過度に心配する必要はありません。
下記のような問題がみられる場合は、早期に舌小帯切除を行うことで改善が期待できるケースが多いです。
1. 発音の問題が見られる場合
「さ行」や「た行」が発音しづらい
舌小帯が短いことで舌の動きが制限され、特定の音をうまく発音できないことがあります。
特に、「さ行」や「た行」などの音は舌の先を使って発音するため、舌が十分に動かせないと発音が不明瞭になったり、「しゃ行」のように変わってしまうことがあります。
早期の言葉の発達に影響が出る
言葉の発達が始まる幼児期において、舌の動きが制限されることは発音だけでなく、言葉の習得全体に影響を及ぼす可能性があります。
言葉の発達が遅れている、もしくは特定の音がなかなか出せないお子さまの場合、舌小帯の状態を確認することが推奨されます。
2. 食事の際に舌を上手に使えない場合
飲み込みや咀嚼がしにくい
舌小帯が短いために舌が正しく動かせないと、飲み込みや咀嚼(噛むこと)がうまくできず、食事に困難を感じることがあります。
特に、柔らかいものから固いものに食事の形態が変わる3歳ごろは、食事の様子を観察して気づく保護者の方も多いです。
食べ物を上手に飲み込めず、食べこぼしが多い
舌の動きが制限されると、食べ物を飲み込む際にうまく口の奥へ送り込めないことがあります。
その結果、食べ物を口からこぼしてしまうことが多くなります。
食事中に舌の動きが不自然、または飲み込む際にむせることが多い場合、舌小帯が影響している可能性があります。
3. 舌を前に突き出しやすい場合
常に舌が前に出てしまう
舌小帯が短いと、自然に舌が前方に位置してしまい、口の中に収めにくくなることがあります。
寝ている間や普段の姿勢で舌が前に出ている場合、歯並びに影響を及ぼす「舌癖」にもつながりやすく、矯正治療が必要になるリスクも高まります。
前歯を舌で押してしまう
舌小帯が短いと、舌を前に突き出すように動かしやすくなり、そのため前歯に舌の力がかかることが多くなります。
これにより、前歯が前方に押されて歯並びが悪くなる「開咬(かいこう)」や「反対咬合(下顎前突)」の原因になることもあります。
矯正無料相談を行っております
矯正治療は、焦って早く始めれば良いというものではなく、お子さまの成長に寄り添いながら最適なタイミングで行うことが大切です。
お子さまの健康な成長を支えるために、どうぞお気軽に当院の無料相談をご利用ください。
親御さんの不安に寄り添い、お子さまの明るい未来のためにベストなサポートをさせていただきます。