成長発育矯正（顎顔面矯正）について

私たちが行う「成長発育矯正」とは?



矯正治療というと”見た目の歯並び”が着目されがちです。
ですが、顎が小さいのに歯並びを整えても、将来また歯並びが悪くなる可能性があります。

一般的な矯正治療が歯の並びだけを整えることに重点を置くのに対し、成長発育矯正では、土台となるアゴの成長を促し、機能を回復させ、その上で歯並びを治していくことが特徴です。

成長期にある子どもたちのあごや顔の骨格の発育を助け、正常な歯並びと噛み合わせを目指す治療です。

 

成長発育矯正の目的



成長発育矯正の主な目的は、歯並びや噛み合わせを整えると同時に、顔全体のバランスを自然な形で育むことです。
特に成長期のお子さまの場合、あごの骨や顔の骨が発育の途上にあるため、矯正力を加えた装置を使うことで、将来的に適切な咬合や美しい顔立ちを実現できます。

この治療法は、あごの成長を利用するため、通常6歳〜9歳頃の早い段階から開始することが望ましいとされています。
発育のタイミングに合わせて適切な力を加えることで、上あごや下あごの成長を理想的な方向に導くことができます。

 

小児期の矯正治療の重要性



矯正治療は時間と費用がかかりますが、早期の治療はその後の人生において多くのメリットをもたらします。
歯並びや噛み合わせが良いことは、虫歯や歯周病のリスクを減らし、全身の健康にもつながります。

 

成人後の矯正治療との違い

成人後の矯正では顎の成長が期待できないため、抜歯が必要になることがあります。
しかし、成長中の子供の場合、顎の成長を促し、抜歯せずに治療が進められます。

一度歯医者でおくちの中を確認することが大切です

問題は無いように見えますが…

レントゲンをみると、 これから生えてくる歯を邪魔しています。

 

未発達な顎のデメリット

顎のサイズが小さいということは、顎の発育が不十分ということです。
これは、歯並びに影響を与えるだけではありません。
例えば、上顎は鼻腔(鼻の空気が通る通路) とつながっているため、上顎が小さいと鼻腔が狭くなります。
この鼻の空気が通る通路が狭いと、呼吸がし難くくなり、口から空気を取り込もうと口呼吸になってしまうのです。



また、下顎の未発達は、舌の動きに悪影響を与えます。 食べ物が上手く噛めない、滑舌が悪いという症状が出てくることもあります。
未発達な顎(あご)は、悪い歯並び、 口呼吸、 鼻づまりや喘息、 いびきを引き起こしたり、食べ物が咬みにくい、滑舌が悪い、顔つきや姿勢にまで影響を与えています。

顎の成⻑不⾜が及ぼす悪影響について

 

矯正を始める時期



上顎が大切！

こうした問題を改善するには、 上顎が正しく成長できるように導いてあげる必要があります。
ところが、この治療は、いつでもできるわけではありません。
上顎の成長は、脳神経系と同じ成長曲線を描いていて、6歳頃までに大人の約90%、12歳までには、ほぼ終了すると言われています。
そうすると、永久歯に生え変わる前に上顎の成長はほぼ終わってしまうので、大人になってからの歯並びもすでに決まってしまうということになります。

永久歯に生え変わるまで様子を見ていると、治療に最も効果的な時期を逃してしまうことになります。
お子さんの成長は、待ってくれませんので、治療のタイミングがとても大切になります。

 

治療開始 : ベストな時期は6歳頃~



治療開始の最適な時期は、個人差もありますが、 おおよそ5~7歳頃です。
(反対咬合のお子さんは、4歳頃が良いと思います。)

装置を外した後も、咀嚼や呼吸、姿勢を正すといったトレーニングを行うことで、お子さんがたどるべき正常な成長へとつなげることができるのです。
ベストな時期を超えた後でも、早めに始めることによって良好な結果が得られます。

 

主な装置と治療内容

成長発育矯正では、以下のような装置を使用します。
これらの装置は、適切な位置でのあごの成長や噛み合わせの調整を行うのに役立ちます。

急速拡大装置



上あごを横方向に拡大するための装置です。
これにより、歯が並ぶためのスペースが確保され、正しい噛み合わせができるようになります。
使用期間は通常6〜12ヶ月程度で、個々のお子さまの成長に合わせて調整されます。

急速拡大装置について

 

上顎けん引装置



上顎が十分に前方に成長するよう、牽引力をかけて上顎を前に出す装置です。
特に、上顎の発育が遅れているお子さんに適しています。
使用期間は半年から1年が目安で、あごの成長に応じて使用します。

上顎けん引装置について

 

成長発育矯正のメリット

1. 将来、永久歯を抜かなくて済む



成長発育矯正は、成長期のお子さまのあごの骨の成長を利用して、歯が並ぶスペースを自然に確保する治療です。
早い段階であごを適切な大きさに拡げることで、永久歯がきれいに並ぶためのスペースを作ることができます。
これにより、永久歯を抜かずに治療できる可能性が高くなります。
歯を抜かないことで、歯並びが維持しやすく、将来のメンテナンスも簡単になるというメリットがあります。

 

2. 全身の健康にもつながる



あごや歯並びが整うことで、口腔機能が改善されます。たとえば、正しい噛み合わせができるようになると、食べ物をしっかり噛むことができ、消化器官への負担が軽減されます。
また、呼吸も鼻呼吸が促進されるため、酸素をしっかり取り入れることができ、全身の成長発育に良い影響を与えます。
さらに、正しい姿勢を保つことにもつながり、肩こりや腰痛などの姿勢に関連した問題の予防も可能です。
歯並びを整えることが、子どもの全身の健康を支える重要なステップとなります。

 

3. 装着期間が短い



成長発育歯列矯正では、お子さまの成長期の力を利用するため、一般的な矯正治療よりも短い装着期間で治療を終えられる場合があります。
骨が柔らかく成長のスピードが速い時期を利用するため、あごや歯に負担をかけすぎることなくスムーズに動かすことができ、効率的な治療が可能です。
短期間で効果が得られるため、お子さまの負担を軽減し、早い段階で快適な生活を取り戻していただけます。

 

4. 後戻りしにくい



成長期にあごや歯並びを骨格から整えることで、治療後の後戻りが少なくなるというメリットもあります。
成長発育矯正では、骨自体の形や大きさを調整するため、単に歯を並べ直すだけの矯正とは異なり、土台から正しい位置に導きます。
このため、骨格が安定して定着しやすく、後戻りのリスクが少ないのが特徴です。
また、治療後も当院でメンテナンスやフォローを行うため、治療の成果を長期にわたって維持しやすくなります。

 

成長発育矯正を当院で受けるメリット



当院では、経験豊富な歯科医師と歯科技工士が連携し、成長発育矯正に取り組んでいます。
院内に歯科技工士が駐在しているため、装置の作成や修理が迅速に行えます。
また、お子さま一人ひとりの成長スピードに合わせた装置の調整やメンテナンスもスムーズに提供し、安心して治療を受けていただける環境を整えています。

お子さまの成長とともに、理想的な歯並びと口腔機能をサポートするため、定期的な経過観察やメンテナンスも行っております。
長期にわたる治療ですが、保護者の皆様とともに成長を見守りながら、一緒に進めてまいります。