子どもが矯正を嫌がるときの対処法と声かけのコツ
2025/05/20

「子どもの歯並びが気になるけど、矯正治療を嫌がって通ってくれない…」
「毎日の装置の取り外しやお手入れに非協力的で困っている」
そんなお悩みを抱える保護者の方は、少なくありません。
子どもの矯正治療は、ご本人の協力が欠かせないため、モチベーションや気持ちの部分がとても大切です。
当院では、子どもの矯正治療(特に成長発育矯正・顎顔面矯正)を専門的に行っており、多くの親御さんから「どうしたら嫌がらずに治療を続けられるか?」というご相談を受けています。
この記事では、
子どもが矯正を嫌がる主な理由とその背景
嫌がるときの具体的な対処法
保護者の声かけの工夫
について、事例を交えながら詳しくご紹介します。
子どもが矯正を嫌がる主な理由とは?
1. 装置の違和感や痛みが苦手

子どもが矯正治療を嫌がる最もよくある理由の一つが、「矯正装置による違和感や痛み」です。
お口の中はとても敏感な器官で、特に子どもは感覚が鋭いため、大人以上に些細な変化や刺激に反応しやすい傾向があります。
矯正装置を初めてつけたとき、「しゃべりにくい」「食べ物がうまく噛めない」「頬や舌に当たってチクチクする」といった違和感を強く感じることがあります。
また、歯が動き始めるときの鈍い痛みや締めつけ感も、子どもにとっては「怖い」「辛い」と感じやすく、それが「矯正=嫌なもの」という印象を強めてしまうこともあります。
特に成長期の子どもは、ストレスに対する耐性がまだ未熟で、少しの不快感でも大きな苦痛として受け取ってしまうことがあります。
さらに、矯正装置の種類や治療ステップによっては、食事制限やお手入れが必要になるため、「いつも通りの生活ができない」ことに対するストレスも加わります。
こうした心身の違和感が積み重なると、治療そのものに対する拒否感が強くなり、「行きたくない」「もうやめたい」といった言葉に表れてきます。
2. 見た目が気になる(友達の目)

子ども、特に小学校中学年以降から思春期にかけては、「周囲からどう見られているか」を非常に気にするようになります。
矯正治療においても、装置の見た目が気になることで、嫌がる気持ちが強くなることがあります。目立つ矯正器具をつけることによって「友達にからかわれるかも」「変に思われないかな」という不安を抱くのは自然なことです。
子どもにとって学校や塾、習い事などのコミュニティはとても重要な世界であり、その中で「浮いてしまう」「からかわれる」「注目される」といったことは大きなストレスになります。
矯正装置が目立つことで、友人関係や日常生活に支障が出るのではないかと心配し、それが「やりたくない」という気持ちにつながることもあります。
特に思春期に近づくと、外見への関心が高まり、矯正装置を「ダサい」「恥ずかしい」と感じてしまうこともあります。また、SNSやYouTubeなどを通じて理想のルックスへの意識も強くなっており、見た目の変化に対して敏感になっている時期でもあります。
このような気持ちは、大人が「そんなの気にしなくていいよ」と一蹴しても解決しません。
本人の不安にしっかり寄り添い、安心できる環境を作ることが大切です。たとえば、目立ちにくいマウスピース型の装置など、見た目に配慮した選択肢を用意してあげることで、気持ちが前向きになることもあります。
また、「矯正をしている子は他にもたくさんいるよ」という情報を伝えることで、孤立感を減らすことも重要です。
3. 面倒・続けるのが大変

矯正治療は一度始めたらすぐに終わるものではなく、1〜2年、あるいはそれ以上の期間が必要になることもあります。
特に子どもにとって「毎日の装着」や「通院の継続」「食後の装置の洗浄」など、ルーティンを守ることは面倒に感じることが多く、それが治療への拒否感につながります。
例えば、取り外し式の装置であれば、「寝るときに毎日つける」「決められた時間は外さない」などのルールを守る必要があります。しかし、子どもはその場の気分や感情で行動することが多く、毎日コツコツと続ける習慣がまだ身についていないため、「つけ忘れ」「外したまま忘れてしまう」といったトラブルがよく起こります。
また、「これくらいさぼってもいいかな」と思う気持ちが積み重なると、装着時間が足りず、歯の動きが悪くなったり、治療期間が長引いたりする原因にもなります。そうなると本人が余計に「やりたくない」「終わらない」と感じて、悪循環に陥ってしまうのです。
矯正治療をスムーズに続けるためには、親子で協力して「毎日〇時に装着する」「カレンダーにシールを貼って記録する」など、習慣化する工夫が必要です。
子どもが前向きに取り組めるように、小さな目標設定やごほうび制度を取り入れるのも効果的です。無理に続けさせるのではなく、「がんばれた!」という自己肯定感を育てながら、習慣化を目指すことが大切です。
4. 治療の意味を理解していない

子どもが矯正を嫌がる大きな理由のひとつに、「なぜ矯正をしなければならないのか」を理解していないことがあります。
大人のように将来のことを見通して行動することが難しい子どもにとって、「痛い思いをして、面倒なことをしてまで治療する意味」はなかなか実感できません。
「歯並びが悪いとどうなるのか?」「なぜ今治しておいた方がいいのか?」ということが腹落ちしていないと、「別に今困ってないのに」「なんでこんなことしなきゃいけないの?」という疑問が不満や拒否につながります。特に成長段階にある子どもは、自分の見た目や健康に対する意識が低く、親が「将来のために」と説明してもピンとこないことが多いのです。
また、親が勝手に矯正を決めたと感じていると、「自分の意思じゃないからやりたくない」という反発心も出てきます。
このように、治療の意義が自分の中で納得できていないと、治療そのものに前向きになれず、消極的な態度になってしまうのです。
このような場合には、「あなたの歯がきれいに並んだら、笑顔がもっと素敵になるよ」「食べるのもしゃべるのももっと楽になるよ」など、子どもが具体的にイメージできる言葉で、メリットを丁寧に伝えることが大切です。本人の気持ちを尊重しながら、ポジティブな気持ちを育てていくことで、矯正治療に対する納得感と意欲を引き出すことができます。
嫌がるときの具体的な対処法
1. 装置の違和感や痛みが苦手な場合の対処法

矯正装置に対する違和感や痛みを理由に嫌がる子どもに対しては、まず「慣れ」を重視した段階的なアプローチが効果的です。
いきなり複雑な装置を装着すると、強い不快感や拒否反応を引き起こすことがあります。そこで当院では、治療の導入期には「できるだけシンプルで痛みの少ない装置」からスタートし、お子さまが装置に慣れる期間をしっかり確保しています。
さらに、痛みについては「痛みはずっと続かない」「数日で楽になる」ということを、あらかじめ子ども自身にわかりやすく説明することが重要です。たとえば「筋トレの後に筋肉痛がくるようなもので、体が強くなる途中のサインなんだよ」と伝えることで、不快な感覚を前向きに捉えてくれることがあります。
また、痛みに敏感なお子さまには、装置の調整もできる限り優しく段階的に行い、慣れるまでの通院頻度も柔軟に調整します。お家での過ごし方としては、最初の数日は柔らかい食事を選んだり、冷たい飲み物や保冷剤などで痛みを和らげるサポートも効果的です。
対処法
最初は痛みが少ない装置を選ぶ
装着時間を短時間から徐々に伸ばす
違和感がなくなるまで医師と一緒に慣らしていく
2. 見た目が気になる(友達の目)場合の対処法

友達からの目や見た目を気にして矯正を嫌がる場合には、「目立ちにくい装置を選ぶ」ことと「自信につながる声かけ」が重要です。
お子さまが特に見た目を気にする年齢であれば、なるべく目立たない装置を選択肢に入れることで、抵抗感を減らすことができます。
また、友達からのからかいを受けた場合には、まずはしっかり共感し、気持ちを受け止めることが第一です。
その上で、「矯正していることは、むしろ自分を大切にしている証拠だよ」「本当に歯並びをキレイにしたい人がすることなんだよ」といった前向きな声かけを行いましょう。
対処法
取り外しのできる装置や目立ちにくい装置を選ぶ
他の子も治療していることを伝える(仲間意識)
矯正が「かっこいい・おしゃれ」と感じられるよう伝える
3. 面倒・続けるのが大変な場合の対処法

「装置をつけるのが面倒」「毎日続けるのが大変」と感じてしまう子どもには、「仕組みづくり」と「習慣化」が大きなカギになります。
たとえば、プレート型装置の装着を忘れがちなお子さまには、日常生活の中に「装着のルール」を組み込むことが効果的です。
「夜ご飯を食べ終わったら装着する」「お風呂上がりにケースから出す」など、生活の中に矯正のタイミングを固定することで、無意識のうちに装着する習慣が身についていきます。
また、子ども自身が「装着しないとどうなるのか」を理解していないことも多いため、「今日はつけられたね、歯がまた動いてきたよ!」と小さな成功をその都度認め、褒めることも大切です。
目に見える変化が実感しにくい場合は、装着日数の記録や、少しずつ変化していく歯の写真を見せてあげると、「ちゃんと効果があるんだ」と自覚するきっかけになります。
対処法
装置の装着時間をカレンダーに記録して「見える化」
目標を設定し、小さなごほうび制度を導入
無理せずステップアップ方式で治療
4. 治療の意味を理解していない場合の対処法

子どもが矯正治療の意味を理解していないまま始めると、どうしても「なんでやらなきゃいけないの?」という疑問が生まれます。そのため、治療をスタートする前に、子どもにもわかる言葉で、矯正治療の目的を丁寧に説明することがとても重要です。
例えば、「今のうちに歯を整えておくと、大人になったときに虫歯になりにくくなるんだよ」「しっかり噛めると、体も元気になるんだよ」など、生活に直結するような話をすると理解しやすくなります。
また、「歯並びがよくなると笑顔がもっとカッコよくなるよ!」と伝えると、特に外見に関心のあるお子さんには響きやすいです。
当院では、初回カウンセリングの際にお子さま自身にも説明を行い、「どうして今治療を始めるのか」「どんなことをするのか」を丁寧に伝えるよう心がけています。また、子ども自身が目標を持てるように、わかりやすい治療ステップを共有し、進み具合を一緒に確認する時間も設けています。
さらに、親御さんには「矯正は“やらされる治療”ではなく、自分の健康のために“選ぶ治療”である」という意識づけをしていただき、治療に対する主体性を育てていくことが、お子さまのモチベーション維持にはとても大切です。
対処法
イラストや模型を使って分かりやすく説明
成長後のメリットを具体的に伝える
「治療をがんばるとこうなる!」というビジョンを共有
子どものやる気を引き出す声かけのコツ
矯正を嫌がる子どもには、親御さんの声かけがとても重要です。
NGな声かけ例
「なんでやらないの!」
「やらないともっと大変になるよ!」
「みんなちゃんとやってるのに…」
→これらはプレッシャーになり、逆効果になってしまうことも。
OKな声かけ例
「今日も頑張ったね!偉いね」
「あと〇日で目標達成だね、一緒にがんばろう」
「やってみようか、応援してるよ」
当院では、親御さんと一緒に「ポジティブな関わり方」もサポートしています。
治療に対する前向きな気持ちづくりを家庭でもできるよう、アドバイスを差し上げています。
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